経審について
経営事項審査(経審)とは
経営事項審査とは、公共工事(国又は地方公共団体等が発注する建設工事)を発注者から直接請け負おうとする建設業者が、必ず受けなければならない審査です。
建設業者は、受注を希望する国や県又は市区町村等に対し、「入札参加資格申請」をし、「有資格者名簿」に登録されることにより、入札参加資格業者になります。「入札参加資格申請」では、建設業者の施工能力や経営規模等により業者の「各付け」を行います。この「各付け」は経審結果を基準につけられるため、経審を受けていない建設業者は、入札参加申請をすることができません。
又経審の業種に対応して建設業許可の業種も得ていなければなりません。従って、公共工事の受注を希望しない場合は、経審を受ける必要はありません。
改正経審の審査内容 (平成23年4月1日施行、虚偽申請防止対策の強化は1月1日施行)
近年の建設投資の減少とそれに伴う競争の激化等を踏まえ、公共工事における更なる適正な企業評価を実施できる仕組みに改善していくことが重要になっており、「中央建設業審査会」の審議、検討の結果に基づき、ペーパーカンパニー対策などの評価の適正化の観点、現下の多様なニーズへの観点から所要の改正を行うとともに、虚偽申請防止対策の強化のための運用面の改善を図ることになりました。以下が改正の項目です。
1.技術者に必要な雇用期間の明確化 (審査基準日前6ヶ月を超える恒常的雇用関係にある者)
2.完成工事高の評点テーブルの上方修正(完工高約12点、元請完工高約91点の上昇)
3.再生企業に対する減点措置 (再生中一律60点減点、再生後は営業年数はゼロ年スタート)
4.社会性等(W点)の評価項目の追加 (建設機械の保有状況、ISOの取得状況)
<虚偽申請防止対策の強化>
1.経営状況分析機関が行う異常値確認のための基準を見直すとともに、一定の基準に該当する申請については、直接審査行政庁に情報提供する仕組みの創設
2.審査行政庁が行う完工高と技術者数値の異常値検出の相関分析を見直し・強化3.審査行政庁と経営状況分析機関の連携を強化し、虚偽申請の疑いのある業者に対しては重点審査(証拠書類の追加徴収、原本確認、対面審査、立入等)を実施
審査を受けた業者は、「総合評定値通知書」が送付され、「総合評定値P点」が付きます。このP点が会社の申請業種別の総合点数になります。経審審査においては、直前2~3年間の完成工事高の平均と直前の経営状況のデータに基づいて、点数を付けていきます。
項目ごとの評点テーブルに業者の点数を当てはめ、評点を算出し、各評点(X1、X2、Y、Z、W)を算定式に当てはめP点を算出します。
■経営規模の認定(X1) ⇒ 平均完成工事高の評点(2期又は3期)
■経営規模の認定(X2) ⇒ 自己資本額と平均利益額の合計点数を2で除した数値
■技術力・平均元請完工高の評価(Z) ⇒ 技術職員数点数×0.8と平均元請完工高点数×0.2の合計数値
■社会性の確認(W) ⇒ (社会保険の加入状況、退職金制度の有無、 営業年数、防災活動への貢献状況、法令の遵守、建設業の経理の状況、研究開発費の状況、建設機械の保有状況、ISOの取得状況)の合計点数×0.95×10
■経営状況の分析(Y) ⇒ 負債抵抗力、収益性・効率性、財務健全性、絶対的力量
P点算出式 (平均700点に設定 最高点2080点 最低点277点)
P点=0.25×1+0.15×2+0.2Y+0.25Z+0.15W
今回の改正は虚偽申請防止対策に最重点を置いた、かなり強力な省令改正になりますので、くれぐれも虚偽申請にならないように充分注意したいものです。
経審申請の流れ
1:決算変更届の提出
・改正工事経歴書(東京都へ経審予約)
・財務諸表(消費税抜)
↓
2:経営状況分析申請
・「経営分析機関」へ申請書・財務諸表等郵送
・経営分析結果通知書郵送受領
↓
3:経営事項審査申請
・東京都へ(申請書と確認資料・分析結果通知書原本)申請
↓
4:総合評定値通知書郵送受領(経審結果通知書)
結審結果通知の有効期限
公共工事を請け続けるためには、毎年の経審を継続して受けることが必要です。
経審結果通知書の有効期限は、審査基準日(決算期)から1年7ヶ月です。
次の決算期から7ヶ月以内に継続の申請をしなければなりません。
結果通知書の有効期限が切れると公共工事発注者が作成する指名競争入札名簿に名前が登載されていても公共工事の請負契約が締結できなくなりますのでご注意下さい。
入札参加について
入札参加資格申請とは
入札参加資格申請とは、業者が公共工事の入札に参加するため、あらかじめ希望する官公庁の有資格者名簿に登載してもらうための審査を申請することです。
審査の方式
審査の方式は自治体ごとに異なりますが、紙ベースの申請とインターネットを利用した電子申請に分かれています。 現在ではほとんどの自治体が電子申請の方式をとっています。
また、入札手続きも電子入札の方式が拡大してきました。
入札参加資格の有効期間
有資格者名簿に登載される期間は工事は中央官庁及び東京都は2年間ですが、東京電子自治体(東京都以外の協議会加盟自治体)は毎年継続申請です。中央官庁の物品については3年間です。
多くの官公庁では、申請期間が過ぎても随時申請を受け付けているところが多いようです。ただ現在のようにめまぐるしく法改正が行われている状況では、たえず、申請先官公庁に確認し、間違いのない手続きをとられることをお勧めいたします。